僕はこの三月で入社十八年目となりました。社会経験も少なく知識も興味もなかった僕です。当時は白木祭壇に花環やテント、庭道具と現場にはとにかく沢山の道具が溢れていました。訪れる会葬者の人数も比べものになりません。今では当たり前の貸式場や葬儀専用式場もほとんど無かった為、お寺や自宅、町内会館が式場になるパターンばかり。当時、仕事の中心は溢れかえる荷物の運び手で、そこに多くのスタッフが必要だったのです。返礼品屋さんでもない限り遺族や会葬者に直接接する事は無かったんじゃないかな。裏方時代が長かったお陰なのか客観的に様々な担当者さんの仕事を近くで見たり聞いたりする機会に恵まれ「このまま荷物運びだけで終わりたくない」と考えるようになったことを覚えています。同時に「おっ!やっぱり若いモンは違うねぇ」と言って頂くにも限りがある事にも気付き始めます。
最初は納棺、次第に司会を任せていただけるようになり葬儀に詳しくなったつもりでいたのですが、ご遺族との会話や役所、火葬場の方とお話しする中で「葬儀は式だけではない」という事を痛感させられるようになっていきました。今までは飾り始めから出棺までの内容をコンプリートすることに必死でしたが、ここからは式の前後も知っていなければ役に立たなくなったのです。葬儀屋さんを喜ばせる事に徹するばかりでその先に居るご家族を忘れていたのかもしれません。実際お葬式に必要な手続き、法律など多くの決まりがあるのは知ってましたが勉強は愚か自分には関係ないと。そんな時に出会ったのが葬祭ディレクター試験です。
ある程度知識があるから大丈夫だろうなんて甘く見ていたら大間違い。司会に幕張り、学科試験と毎晩猛練習・猛勉強したことが昨日のようです。知識はもちろんなのですが、なにより合格という目標に向けて努力するという経験に感謝しています。今まで達成できなかった事を達成できるようになるとか、良い方法を考える。調べる、覚える、挑戦する機会はこの先何度も出会えるものではありませんから。僕にとっては試験に受かる為のものではなかった様に思えます。それはお葬式に限らず今後の生き方にも役に立つ物になったと思います。もちろん取った資格も自分を助けてくれますし自信も信用も増します。
学生時代に勉強しなかったツケが大きかったぁ…勉強の仕方から勉強でしたね。行き慣れない図書館に通ったり、色付きの下敷きや単語帳なんか初めて持ちましたよ。願書の受付は今月から開始しています。
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